World Fair Trade Dayに想いを寄せて

5月11日は、「世界フェアトレードDay」です。

毎年世界中で 5月の第二土曜日に、フェアトレードをお祝いするイベントが行われる日。

私が2月末に生産国のボリビアに行った時に、訪問先団体の女性たちが「今から5月のフェアトレードディに向けて商品やイベントの準備をしているのよ」と忙しそうに笑顔でお話してくれたので、きっと今月は充実した日々を過ごされていることと思います。

この日をお祝いするにあたり、ボリビアでのお話を少しシェアさせていただけたらと思います。

ボリビアの先住民女性たちとフェアトレードのお仕事を始めたのは、2014年の10年前。
ちょうど10年経ちました。
出会いに恵まれて学び多き、濃い10年だったと振り返っています。

「2014年に訪問した時、作り手Teofilaさんとお嬢さんとの写真. エルアルトの工房にて、ボリビア.」

「2024年に訪問した時のTeofilaさんとの写真(娘さんは無事独立されていました).
同じくエルアルトの工房にて.」

生産地であるボリビアは、特にラテンアメリカでも貧困国であるため、パンデミック以降フェアトレードのお仕事をもう続けられないと、他の仕事をせざるを得ない状況の中で生計を支えている女性たちの現実も目の当たりしました。

「こちらは大変お世話になったフェアトレード団体マネージャーのEduardoさんご夫婦との写真。
パンデミック以降、様々な苦難を乗り越えて今は他のお仕事でご活躍されています。フェアトレードの精神は今のお仕事でも継続しているとお話してくれました」

「フェアトレードの10の原則である”児童労働撤廃や環境に優しい”という条件は、ボリビアのような国にはとてもハードルが高い。欧米からの思想だと思う」という率直な意見も伺うことができました。
ここで大切なことは、フェアトレードだけで国際社会が抱える格差是正は難しく、様々な分野の活動とパートナーシップが重要ということです。

今、私が学ぶ大学院の授業で、先日「様々な市民社会運動は、小さなもので、そもそも資本主義、制度、システムを変えるようなものでないとユートピア論にすぎないのではないか」という議論になりました。

その時に若い学生が「運動に、そもそも大小や優越があると言えるのか」

「インパクトや意義に大小があると言えるのか」と問いかけてくれました。

Me,tooも、Black Lives Matter運動も最初はたった一人から始まった運動かもしれないけれど、
取組みの前と後では確実に人々の心への変化や気づきがあったと言えるのではないでしょうか。

たった一人の声、あるいは少人数による小さな活動を、小さいとくくってしまうのは、「人間性よりも大きさ」を測る。つまり、社会を生産性ではかってしまう市場経済的な観点にとらわれているのではと気づかされます。

「フェアトレードの仕事を諦めざるを得なかった」と悔し涙を浮かべてお話してくださったボリビアの女性たち。

想いを寄せてくださっているお客様、商品をいつも届けてくださっているショップの皆様、
もちろんフェアトレードだけでなく未来を想い活動を忍耐強く続けておられる全ての方々へ、
感謝とお祝いの気持ちを綴らせていただきたいと思います。


Happy World Fair Trade day!

猪岡愛佳

ボリビアの愛らしいストリートアート (ボリビア,ラパスにて.2024.2月撮影)
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